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有効求人倍率から読み解く ― 埼玉北部の人手不足の実態と打開策

1. 「有効求人倍率」とは何か?

まず押さえておきたいのは、有効求人倍率の基本的な意味です。
これは「ハローワークに登録された求人数を、求職者数で割った値」。
たとえば1.0倍なら「求職者1人に対して求人1件」。1.5倍なら「求職者1人に対して求人1.5件」ということになります。

つまり数字が高いほど、人材獲得の競争が激しくなり、採用の難易度が上がる指標です。

2. 全国と比較してわかる埼玉北部の深刻度

2025年7月の全国平均は 1.27倍、埼玉県全体では 1.18倍。
一見すると県全体は比較的落ち着いているように見えますが、県北地域の製造業に限ると 1.5倍前後に達しています。

これは全国水準よりも高く、企業間で人材を奪い合う「採用難」が顕著な状態と言えます。

3. 倍率1.5倍が意味するもの

有効求人倍率を「採用難易度のレベル感」で整理すると:

1.0倍未満 … 求職者が多く、採用しやすい

1.0〜1.2倍 … やや採用難

1.3〜1.5倍 … 採用難が深刻化

2.0倍以上 … 極めて深刻

したがって 1.5倍は「深刻な採用難」のライン。
求人を出すだけでは人材が集まらず、条件やPR方法に工夫が必要です。

4. 埼玉北部で倍率が高い理由

数字の背景にはいくつかの要因があります。

労働力人口の減少
 深谷市・熊谷市・本庄市では、15〜64歳人口が過去10年で▲7%以上減少。

産業構造の偏り
 製造業・運輸業・介護が求人の6割を占める一方、若年層は都市部やオフィスワークを志向。

通勤流出の高さ
 20〜30代の約3割が大宮や東京へ通勤しており、地元就業の母数が小さい。

5. 数字から導く“解決の方向性”

有効求人倍率が示すのは「現状の厳しさ」だけではありません。
数字を読み解けば、企業がとるべき戦略の方向性も見えてきます。

チャネルの多様化
 求人媒体だけでなく、SNS・人材紹介・自社採用ページなど複数導線を確保。

「定着」視点の採用
 短期離職を防ぐために、スキルより「長く働ける価値観」を重視。

魅力の可視化
 給与・休日だけでなく、地域貢献や安定性など、非金銭的な魅力を打ち出す。

外部リソース活用
 採用支援会社や職業紹介を併用し、自社だけで解決しようとしない。

6. まとめ ― 数字を武器にする採用戦略へ

有効求人倍率は単なる統計値ではなく、採用環境を映す“鏡”です。
埼玉北部で1.5倍という数字は「普通のやり方では採用が難しい」という現実を突きつけています。

しかし同時に、データを根拠に戦略を立てれば、競合と差別化し「選ばれる企業」になることも可能です。

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